はじめまして。
寺子屋『ら』組、『こ』組担当講師のEMIです。
どうぞよろしくお願い致します。
さっそくですが
ハーフのお子様をお持ちの保護者様に
ぜひ目を通していただきたいものがあります。
私事ですが、
9月5日、6日にマドリードで開催されていた「ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」
という学会に参加しました。
という学会に参加しました。
ヨーロッパを中心に、世界各国から、海外で暮らす”日本につながりのある子ども達”の
教育に関わる先生方や、子育てをしていらっしゃるお母さん方とお話をする機会にも
多く恵まれました。
日本の外で、日本語を子どもたちに教える難しさ、しんどさ、焦り。
現地語と日本語の2つの言語•文化を身につけることができた喜び、うれしさ、感動。
私の文章力で、きちんとお伝えできる自信はないのですが、てらこやの保護者や
先生方の少しでもお役に立てる情報をお伝えできれば•••と考え、
以下にまとめます。
☆ ☆ ☆
【スイスで28年間、日本につながりのある子どもの日本語教室をしている先生の話】
*スイス、特にチューリッヒでは、外国につながりのある子どものための母語教育が盛ん。
市がガイドラインも作成している。
*授業時間は、週一回、90分(水曜日)。小学部と中学部があり、計6年間。
*生徒のほとんどが国際結婚家庭の子どもたち。
*6年間で漢字1000字を学習し、卒業時に日本語能力試験N2合格を目標とする。
*仲間と一緒に勉強する、その環境がとても大切。
*子どもは、家族や友達とのやりとりを通じて、ことばを学ぶ。
*子どもが成長していくにつれて、「日本語やりたくない!」という時期が必ず来る。
そのときも、絶対にやめない。やめてしまえば、ゼロになってしまう。
少しずつでもいいので、絶対に続けること。”継続は力なり”。
*「日本語やってれば、絶対に将来いいことがあるよ!」と先生達はくり返し子どもたちに
言っている。実際に28年間子どもたちを見ていて、そうだということを知っているから。
子どもたちは、そういう言葉をよく覚えている。
中学生になった子たちに、「日本語の勉強、がんばって続けられたね」というと「だって、
先生が”いいことがある”って言ったじゃない」と答える。「いいことあった?」と聞くと、
みんな笑顔で「あった」と答える。
*小学校高学年から高校生くらい(個人差あり)になると、日本語の大切さが理解でき、
親にも感謝するようになる。20歳になったお子さんが正座して「お母さん、日本語
やらせてくれてありがとう」と言ったという話は、多く聞かれる。
*やめてしまった場合、後になって(少々ずるいことに)「お母さん、何で日本語やめさせたの?」
と言うことがしばしば。「あんた、泣いて嫌だって言ったじゃない!」「そこでやめさせないのが
親でしょう?」というやりとりを、その教室の先生の一人が、16才の娘さんとしたとか。
*言語の伸びは、ずっと順調なわけではない。停滞期も必ず来る。その時に、諦めないで
少しずつでも続けることが、何より大切。
*バイリンガルの子どもたちは、自分たちの言語力に不安を常に抱えている。
現地語も他の子達よりも苦手、日本語もできない、と悩む子どもたちは本当に多い。
(モノリンガルを基準に、大人がテストしたり、できないことを指摘するため)
教師も親も、子どもに自信をもたせるように、たくさん褒めることが大切。
*日本人の親とのやりとりは、絶対に日本語にする。そうしないと、大人になってから、
外国語として日本語を勉強する以外、選択肢がなくなってしまう。
”今更”と思わないこと。”今しかできない、やるしかない”と親のほうがきちんと腹をくくる。
【ドイツ、スペイン、ハワイなどで子育てをしたお母さん方の話】
*”日本を知ってほしい、お母さん(日本人)のことを知ってほしいから、日本語を
勉強してほしい”ということを、子どもにくり返し話す。
*”友達の前では、日本語で話しかけないで!”とある日子どもに言われ、とてもショックだった。
”そんなことを言われると、とても悲しい”と、正直な気持ちを冷静に話して、なぜ日本語を
学んでほしいかを話し合った。
*”日本人である自分と話せなくなるのは、この子にとって損失になる”と信じて、
日本語の教室に通わせ続けた。子どもが大きくなって、進路のことなどで悩んでいる時、
やっぱり日本語で会話できるようにしておいてよかったと、心から思った。
*日本のアニメ、マンガ、雑誌など、何でもいいので、興味をもてるものを探す手伝いをする。
ただし、強制はしないこと。
*”できないこと”を数えるのではなく、”できること”を数える。「これも、これもできる!」と
できることを褒める。
*”日本語をやらせていてよかった”と思う日は必ず来る。スポーツや他の子どもと遊ぶ時間を
犠牲にしてまで。。。と感じることもあるかもしれないが、ことばの習得は、その時間の
投資に見合うもの。
*良質なインプットがなければ、ことばは育たない。「ご飯」「おやつ」などだけでなく、
学校であったこと、ニュースで見たこと、本で読んだことなど、様々なことを
親子で日本語で話すことが大切。
【スペインで2人のお子さんを育てているお母さんの話】
*田舎に住んでいるので、周囲に日本人が誰もいない。今、子どもは2才と6才だが、
上の子は幼稚園に行きだしてから、現地語ばかり強くなっている。
不安と焦りでいっぱいで、どうしたらいいかわからない。
*近くに日本人コミュニティがあり、子どもたちの勉強の場を整えられるのは、
とても恵まれている。
【海外で子育てをする方におすすめの本】
(1)『三省堂ことばつかいかた絵じてん』
(2)子ども版 声に出して読みたい日本語
(3)光村ライブラリーのシリーズ
以上です。
少しでも参考にしていただければ幸いです。
EMI