2013年9月10日火曜日

海外にお住まいでハーフのお子様を持つ保護者様へ


はじめまして。

寺子屋『ら』組、『こ』組担当講師のEMIです。


どうぞよろしくお願い致します。


さっそくですが
ハーフのお子様をお持ちの保護者様に
ぜひ目を通していただきたいものがあります。

私事ですが、
 9月5日、6日にマドリードで開催されていた「ヨーロッパ日本語教育シンポジウム」
 という学会に参加しました。


ヨーロッパを中心に、世界各国から、海外で暮らす”日本につながりのある子ども達”の
 教育に関わる先生方や、子育てをしていらっしゃるお母さん方とお話をする機会にも
 多く恵まれました。




 日本の外で、日本語を子どもたちに教える難しさ、しんどさ、焦り。


 現地語と日本語の2つの言語•文化を身につけることができた喜び、うれしさ、感動。
 私の文章力で、きちんとお伝えできる自信はないのですが、てらこやの保護者や
 先生方の少しでもお役に立てる情報をお伝えできれば•••と考え、
以下にまとめます。


 ☆ ☆ ☆



【スイスで28年間、日本につながりのある子どもの日本語教室をしている先生の話】



 *スイス、特にチューリッヒでは、外国につながりのある子どものための母語教育が盛ん。
 市がガイドラインも作成している。

 *授業時間は、週一回、90分(水曜日)。小学部と中学部があり、計6年間。

 *生徒のほとんどが国際結婚家庭の子どもたち。

 *6年間で漢字1000字を学習し、卒業時に日本語能力試験N2合格を目標とする。

 *仲間と一緒に勉強する、その環境がとても大切。

 *子どもは、家族や友達とのやりとりを通じて、ことばを学ぶ。

 *子どもが成長していくにつれて、「日本語やりたくない!」という時期が必ず来る。
 そのときも、絶対にやめない。やめてしまえば、ゼロになってしまう。
 少しずつでもいいので、絶対に続けること。”継続は力なり”。

 *「日本語やってれば、絶対に将来いいことがあるよ!」と先生達はくり返し子どもたちに
 言っている。実際に28年間子どもたちを見ていて、そうだということを知っているから。
 子どもたちは、そういう言葉をよく覚えている。
 中学生になった子たちに、「日本語の勉強、がんばって続けられたね」というと「だって、
 先生が”いいことがある”って言ったじゃない」と答える。「いいことあった?」と聞くと、
 みんな笑顔で「あった」と答える。

 *小学校高学年から高校生くらい(個人差あり)になると、日本語の大切さが理解でき、
 親にも感謝するようになる。20歳になったお子さんが正座して「お母さん、日本語
 やらせてくれてありがとう」
と言ったという話は、多く聞かれる。

 *やめてしまった場合、後になって(少々ずるいことに)「お母さん、何で日本語やめさせたの?」
 と言うことがしばしば。「あんた、泣いて嫌だって言ったじゃない!」「そこでやめさせないのが
 親でしょう?」というやりとりを、その教室の先生の一人が、16才の娘さんとしたとか。

 *言語の伸びは、ずっと順調なわけではない。停滞期も必ず来る。その時に、諦めないで
 少しずつでも続けることが、何より大切。

 *バイリンガルの子どもたちは、自分たちの言語力に不安を常に抱えている。
 現地語も他の子達よりも苦手、日本語もできない、と悩む子どもたちは本当に多い。
 (モノリンガルを基準に、大人がテストしたり、できないことを指摘するため)
 教師も親も、子どもに自信をもたせるように、たくさん褒めることが大切。

 *日本人の親とのやりとりは、絶対に日本語にする。そうしないと、大人になってから、
 外国語として日本語を勉強する以外、選択肢がなくなってしまう。

 ”今更”と思わないこと。”今しかできない、やるしかない”と親のほうがきちんと腹をくくる。



 【ドイツ、スペイン、ハワイなどで子育てをしたお母さん方の話】


 *”日本を知ってほしい、お母さん(日本人)のことを知ってほしいから、日本語を
 勉強してほしい”ということを、子どもにくり返し話す。

 *”友達の前では、日本語で話しかけないで!”とある日子どもに言われ、とてもショックだった。
 ”そんなことを言われると、とても悲しい”と、正直な気持ちを冷静に話して、なぜ日本語を
 学んでほしいかを話し合った。



 *”日本人である自分と話せなくなるのは、この子にとって損失になる”と信じて、
 日本語の教室に通わせ続けた。子どもが大きくなって、進路のことなどで悩んでいる時、
 やっぱり日本語で会話できるようにしておいてよかったと、心から思った。

 *日本のアニメ、マンガ、雑誌など、何でもいいので、興味をもてるものを探す手伝いをする。
 ただし、強制はしないこと。

 *”できないこと”を数えるのではなく、”できること”を数える。「これも、これもできる!」と
 できることを褒める。


 *”日本語をやらせていてよかった”と思う日は必ず来る。スポーツや他の子どもと遊ぶ時間を
 犠牲にしてまで。。。と感じることもあるかもしれないが、ことばの習得は、その時間の
 投資に見合うもの。


 *良質なインプットがなければ、ことばは育たない。「ご飯」「おやつ」などだけでなく、
 学校であったこと、ニュースで見たこと、本で読んだことなど、様々なことを
 親子で日本語で話すことが大切。



【スペインで2人のお子さんを育てているお母さんの話】



 *田舎に住んでいるので、周囲に日本人が誰もいない。今、子どもは2才と6才だが、
 上の子は幼稚園に行きだしてから、現地語ばかり強くなっている。
 不安と焦りでいっぱいで、どうしたらいいかわからない。

 *近くに日本人コミュニティがあり、子どもたちの勉強の場を整えられるのは、
 とても恵まれている。




【海外で子育てをする方におすすめの本】


 (1)『三省堂ことばつかいかた絵じてん』

 (2)子ども版 声に出して読みたい日本語

 (3)光村ライブラリーのシリーズ


以上です。


少しでも参考にしていただければ幸いです。



EMI

1 件のコメント:

  1. 参考になりました。
    これからも、このような話がありましたら、是非投稿を宜しくお願いいたします。励みになります。

    返信削除